定期調査報告の重要性や推進状況について

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建築物防災週間は建築物防災推進協議会で運営されています。

建築物防災推進協議会の会員(中央団体)である一般財団法人日本建築防災協会 専務理事 石﨑和志様に、天井裏の安全確認の重要性についてお話を伺いました。
 
 
 

定期調査報告の重要性をどのようにお考えでしょうか?

 
 
建物の安全性は、様々な技術や材料の組み合わせで成り立っており、その把握のためには専門技術者の関与が必要です。
建設時には、建築士の設計・監理とともに建築確認・検査が行われますが、その後の小規模な改修時には専門技術者は必ずしも関与せず、また、時間とともに生じる劣化や損傷を把握することは一般には難しいことが実情です。
建築基準法に基づく、特定建築物の定期調査報告は、建設後の建物の安全性を確保するため、建物所有者が、建築士や特定建築物調査員に依頼し調査を行い、その結果を特定行政庁に報告するものであり、建物の維持管理時に専門技術者が関与する貴重な機会です。

 
 
 

定期調査報告につきまして、特に重要と考える項目はございますか?

 
 
この定期調査の重要な調査項目として、「建築物の天井」があります。
天井については、これまでも劣化等により部材の落下による被害が繰り返されてきました。また、東日本大震災による天井落下の多発を受け、200㎡超の特定天井について設置基準の厳格化が図られ、定期調査の内容も、天井裏も含めた天井材の劣化及び損傷を確認するものと強化されました。
天井は雨漏りや結露により劣化が生じやすく、また地震時には隠れた部分で多くの損傷が生じます。
定期調査により、これらの劣化、損傷を確実に調査し、必要な対策を講じることが必要です。
また、定期調査では、この強化された基準に適合しないものについては、違法ではないものの現行の基準に基づく安全性が確保されていないものとして報告されます。これを踏まえ改修の検討を行うことも重要です。
 
 
 

定期調査報告の推進状況を差支えない範囲で教えていただけますでしょうか?

 
 
調査を実施し、報告を行っている建物所有者は現在7割程度にとどまっています。
建築物防災週間は、災害による建築物の被害や人的被害の防止を目的に、国土交通省と地方公共団体、建築関係の団体により構成された建築物防災推進協議会が協力して毎年2回実施され、「建築物等に対する定期報告の徹底と適切な維持保全等」も重点的なテーマとなっています。
定期調査報告は、専門家による建物の健康診断です。
建築物防災週間の機会に、自らの建物の安全性を振り返っていただき、体の健康診断同様、所有・管理される建物についても確実に専門技術者の調査を受け、その結果を受け、積極的な安全対策を講じていただくことをお願いします。
 
  

 こちらは2021年8月にインタビューさせて頂いた内容です。

 
 


 
一般財団法人日本建築防災協会
専務理事 石﨑和志様
 (建築物防災推進協議会幹事長)