【自治体インタビュー vol.1】人命の安全確保や、公共施設の機能継続使用を目的として天井耐震診断を実施

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日本では、人間が感じない小さな地震まで含めると1年に10万回以上、1日平均300回以上の地震が発生しています。
2011年3月11日に発生した東日本大震災では、音楽ホール、劇場など大規模空間の天井が脱落し尊いいのちが失われる被害がありました。また、2016年4月14日に発生した熊本地震では避難所となる施設の天井が脱落し、防災拠点としての機能が果せない事例が散見されました。
2022年3月16日に発生した福島県沖を震源とする地震では多くの天井が破損・脱落し、天井の耐震対策が急務とされています。
山口県下松市は、天井耐震化の重要性を痛感し、市民のいのちを守るために、さらに、公共施設の機能を継続するために、2017年から本組合にご相談頂き、2019年に合計11件の公共施設の天井耐震診断を実施されました。
今回は、JACCA天井耐震診断を実施された山口県下松市住宅建築課のご担当者様に、天井耐震診断を実施した経緯や、実施したことで得た効果などお話を伺いました。
※天井耐震診断の詳細はこちらのページをご覧ください。

 
山口県の南東に位置し瀬戸内海に面しており、人口は山口県の約4割を占める都市です。
大正時代から工業都市として発展し、現在では周南工業地域の中核として、鉄道車両や船舶などの輸送関係から鉄鋼、半導体製造に係るハイテク産業まで、幅広い製造業のまちとして様々な「ものづくり」が行われています。
【下松市公式ホームページ】https://www.city.kudamatsu.lg.jp/index.html

 

山口県下松市様は、11件の公共施設の天井耐震診断をご発注頂きました。当時は、どのような想い、どのような経緯で天井耐震診断をご検討頂いたのでしょうか。

 
東日本大震災・熊本地震で天井、壁材等の落下を、写真や資料などで見る機会があり、発災時の建築物の非構造部材の耐震化の必要性をあらためて痛感しました。天井材を含む非構造部材の脱落・落下防止対策を行い、人命の安全確保や、公共施設の機能継続使用を目的として、天井の耐震診断を検討しました。
 
 

天井耐震診断を実施するにあたり、予算はどのように確保されたのか差支えない範囲で教えて頂けますでしょうか。もし助成金・補助金などご活用されましたらそちらも含めてご教示頂けますと幸いです。

 
活用した助成金・補助金はこちらになります。
・学校施設環境改善交付金/文部科学省 
https://www.mext.go.jp/component/a_menu/education/detail/__icsFiles/afieldfile/2019/08/19/1347810_06.pdf
・防災機能強化事業(改修工事)
https://www.mext.go.jp/content/1422324_003_1.pdf
・地方債、緊急防災減災事業(天井改修工事)
 (天井耐震診断は単独事業)
https://www.soumu.go.jp/main_content/000794104.pdf
 
 

天井耐震診断の実施などを通して、職員の方や市民の方の反響はありましたか。

 
天井耐震診断の結果を受け、公共施設での建築物に対する防災意識が向上し非構造部材の耐震化、維持管理、点検等の重要性を認識してもらえる良い機会になりました。
 
 

天井耐震診断を実施して実感した効果、また期待する効果等があれば教えてください。

 
現状の天井の耐震性を「報告書」として目に見える形で確認ができ、危険性を認識することができたので、改修工事へと進める事が出来ました。
第3者機関として客観的に調査を実施してもらえることが有意義なことです。
 
 

天井耐震診断の報告書をどのように活用されたのかを参考に教えていただけますでしょうか。

 
天井耐震診断調査対象施設の長寿命化計画実施計画の資料や、改修方法の検討資料、天井改修設計時の資料として活用しました。
 
 

今後、当組合および天井の地震対策に関して、期待することやご要望等があれば教えてください。

 
大ホール等の音響、空調設備設計を含めた天井耐震対策の資料の充実を期待します。

 
今回は天井耐震診断の実施に至った経緯や予算確保に利用された補助金等についてお話を伺いました。
下松市様は天井耐震診断を実施後、避難場所となる施設の天井の耐震改修工事を実施され、市民の安全を守る街づくりを進められています。
全国の自治体様におかれまして、持続可能な街づくりのきっかけになれましたら幸いです。
 

 こちらは2022年9月にインタビューさせて頂いた内容です。